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短期過熱感への警戒で騰勢一服、押し目買い根強く底堅さも

[東京 26日 ロイター] -短期過熱感が警戒され、日本株やドル/円の上昇は一服。利益確定売りに押されている。買い遅れている投資家からの押し目買いで底堅い展開だが、中国やタイなど新興国の地政学的リスクもあり、前日までのリスクオンムードは後退している。米感謝祭休暇を控え、これまでの相場をけん引してきた海外勢の動きもやや鈍ってきた。

<一部海外勢が利益確定売り>

 株価が本格的に上昇する局面では短期テクニカル指標はあてにならないことが多い。騰落銘柄数や上昇幅をベースに計算するため、どうしても「過熱」を示すことが多くなるためだ。もみあいやレンジ相場でこそ、そうしたテクニカル指標は有効になる。

 とはいえ、このところの日本株の上昇ピッチはいかにも速すぎた。日経平均<.N225>は11月8日終値から前日まで、約2週間で1532円(10.8%)上昇。終値と25日移動平均線とのかい離は6.6%に拡大し、過熱のメドとされる5%を大きく超過。過去の値動きに対する上昇幅の割合を示すRSI(相対力指数)も25日時点で82.9%(14日ベース)となり、買われ過ぎとされる70%を上回っていた。

 26日の日経平均は、こうした短期過熱感を嫌った利益確定売りに押され、4日ぶりに反落した。前日の米市場では、ナスダック総合<.IXIC>が一時13年ぶりに4000の大台に乗せたが、その後伸び悩むなど海外のリスクオン材料が乏しく、「米感謝祭を控えて一部海外勢が利益確定売りを出したようだ」(大手証券トレーダー)という。

 日経平均は終値で1万5500円台をキープ。「経済指標や国内企業の業績が改善方向にあり、国内機関投資家の押し目買い意欲は強い」(国内証券)とされ、下げ渋る場面もあった。東証1部売買代金は2兆2788億円と200円を超える上昇となった前日並みの水準になるなど、買い意欲はそれほど衰えていない。ただ、海外勢の買いが乏しい中では上値は追いにくく、終日マイナス圏での推移となった。

<地政学的リスクへの警戒も>

 市場のリスク選好ムードがいったん引いたのは、新興国の地政学的リスクを警戒した一面もある。

 タイでは、首都バンコクで25日、インラック政権の退陣を求める反政府デモが行われ、エスカレートした一部のデモ隊が財務省や外務省の建物に突入、占拠した。死傷者が多数出た2010年の抗議運動以来、政治的混迷が最も深まる事態となった。

 また中国が尖閣諸島(中国名・釣魚島)上空周辺を含む東シナ海に防空識別圏を設定したことについても警戒感が強まっている。楽天経済研究所シニア・マーケットアナリストの土信田雅之氏は「日本が反撃などしなければ、中国の反日ムードは今回はそう高まらないだろう。ただ、中国として引き下がるのも難しく、今後の落としどころを注視していく必要がある」との見方を示している。

 原油価格の下落も一服。前日は、イラン核協議の合意を受けて需給緩和懸念が強まったことから売られたが、早くも様子見気分が広がっている。「中東問題の解決に向けた第一歩ではあるが、イランから実際に原油輸出が始まるまでは安心できないとの見方が多い」(ばんせい投信投資顧問・商品運用部ファンドマネージャーの山岡浩孝氏)という。

 円安の進行で国内企業の業績改善期待が再び高まっており、日本株の下値不安は乏しくなっている。ただ、市場センチメントの変化に左右されやすい「緩和マネー」がリスクオン相場の主体であり、海外環境の変化には警戒感も出ている。

(伊賀大記 編集:宮崎大)

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