市場経済ニュース

焦点:今年は3つの「大転換」が実現、残るはドル大幅高

[ロンドン 2日 ロイター] - ことしの取引テーマに挙がっていた4種類の「ビッグローテーション」のうち、3つが見事に実現した。最後の1つである米ドルの大幅上昇は出遅れているが、年末には足並みをそろえると投資家は見ているようだ。

 これまでのところ、2013年は(1)債券から株へ(2)新興国株から先進国株へ(3)米国株から欧州株へ──という3つの大転換によって規定される。

 4つ目のテーマ、米ドルの大幅な上昇は実現しておらず、米政府機関の閉鎖騒ぎが収束して米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小に再び目を向けるのを待つ必要がありそうだ。

 FRBはなお、年末までに資産買い入れの縮小に着手すると予想されているため、ストラテジストは4つのテーマがそろって大成功を収めると見る。

 9月の一連の相場波乱要因や、米国とイタリアの政局混迷によって市場がさほど動揺していないのは、これらの長期戦略が来年も有効だとの確信によるところが大きい。

 世界経済の幅広い回復基調と、米金融政策の段階的「正常化」見通しがこうした考え方を支え、多くのアセットマネジャーに心を乱すなと告げている。

 デクシア・アセット・マネジメントのストラテジスト、ナドジェ・デュフォセ氏は「連邦債務上限をめぐる議論によりボラティリティは高まるだろうが、株式市場へのエクスポージャーを高める機会になると考えている」と言う。

 バークレイズの調査ヘッド、ラリー・キャンター氏は、ポジションを幾分調整する必要は出るかもしれないが、全体的な流れは変わっていないとし、顧客に対して第4・四半期も従来の取引を維持するよう推奨。「米国株にはなお上昇余地が残っているが、既にかなり値上がりした。欧州とアジアの株式の比重を少し増やす必要がある」と説明した。

<3つのローテーション>

 多くのファンドが目先の悪材料に惑わされないのは、ことしの主要取引テーマが長期的な性質を備えているからだ。

 ことし1月は、20年に及ぶ強気相場のピークに達した最上級格付けの債券から、株式に乗り換える動きで幕を開けた。数年間続く「グレートローテーション」の始まりだと言う者もいる。

 実際にそうした資金移動がどの程度起こったかについては疑問が残るが、株と債券のパフォーマンスにはれっきとした差が出た。

 世界株価指数<.MIWD0000PUS>は年初来、最上級格付け国債を約20%もアウトパフォーム。年初から5%下げた米10年国債と、約20%上昇したユーロ圏の優良株<.STOXX50E>を比較すると、さらに対照が際立つ。

 4月にはもう一つの主要テーマが登場した。新興国市場株<.MSCIEF>から先進国株への乗り換えだ。中国の景気減速懸念とFRBの量的緩和縮小観測が、ブラジル、インド、インドネシア、トルコ、南アフリカといった国々の通貨と債券市場を圧迫。先進国が20%もアウトパフォームした。

 最後に成功を収めたのは、年央に起こった米国株から欧州株への資金移動だ。欧州経済の底入れを示す予想外の経済指標と、米景気循環サイクルが峠を越した兆しに注目が集まった。

 ユーロ圏の株価と米S&P500種株価指数はともに年初から9月までに20%近く上昇したが、7月1日以来ではユーロ圏が10%ポイントもアウトパフォームしている。

 残された大きなテーマがドルの幅広い上昇だ。これは、米経済成長率の相対的高さ、金利の反転、国産シェールガス・オイルによるエネルギーコストの低下、貿易赤字の縮小、そして米製造業の復活といった要因が根拠となっている。

 ドルは確かに実効レートベースで年初より上昇しているが、2%程度の上昇では不発だ。これはFRBの緩和縮小が遅れたことと、ドルの上昇が対新興国通貨に偏ってきたことが一因となっている。

 しかしドル高を招くはずの要因はほとんど消え去っていない。12月までにFRBが緩和縮小に踏み切る可能性は残っているし、ユーロ高が進めば欧州中央銀行(ECB)が追加緩和で応じるかもしれない。

 UBSグローバル・アセット・マネジメントのストラテジスト、ボリス・ウィレムズ氏は「ドルのオーバーウエートを続ける」と言う。

 仮にドルの大幅高が実現しないとしても、4つのテーマのうち3つが当たるとすれば悪くない結果だ。

(Mike Dolan記者)

ReutersCopyright
copyright (C) 2017 Thomson Reuters 無断転載を禁じます

ページトップ