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かい離する商品価格と資源国株、バブル的株価に警戒感

[東京 7日 ロイター]商品価格と資源国株のかい離が大きくなっている。中国など世界的な景気減速への懸念でベースメタルなど資源価格が下落する一方、オーストラリアや南アフリカなど資源国の株価は高値水準にある。

 米国などによる金融緩和が過剰流動性を生み出し、株式など一部リスク資産に回っているとみられているが、経済実態とかけ離れたバブル的な株価形成が進めば、反動も大きくなるため警戒感も出ている。

<不況下の株高>

 原油など19商品の先物相場で構成されるロイター/ジェフリーズCRB指数<.TRJCRB>は直近の取り引きで273ポイント付近まで低下した。これは2012年6月以来、1年5カ月ぶりの低水準。銅などのベースメタルや原油など、産業のコアとなる商品の需要が弱いのが要因だ。

 一方、資源国の株価は好調そのもの。TOP40株価指数<.JTOPI>など南アフリカ主要株価指数は3日連続で過去最高値を更新。オーストラリア株は足元はもみあいだが、依然として5年ぶりの高値水準に位置している。ブラジルのボベスパ指数<.BVSP>は足元で下落傾向だが、7月1日と比べ13%程度高い水準にある。

 資源価格の下落と資源国の株価上昇。このギャップはどこから来るのか──。

 1つは米国などの金融緩和から発生した過剰流動性が、一部の国の株式市場に流れ込んでいるためとみられている。グローバル景気の低迷で資源価格は下落するが、景気鈍化は金融緩和環境を長期化させる。足元のマーケットでは過剰流動性が株式などに流入する、いわゆる「不況下の株高」が起きている可能性がある。

 景気の低迷は株式市場にとってもマイナス要因であるほか、緩和マネーが商品市場に流入する可能性もある。

 ただ、「投機筋は流動性が高く上昇トレンドに入っている株式市場を選好し、ダウントレンドの商品は避けている。米国の量的緩和縮小が始まるまで、潤沢な流動性でひと儲けしようとしているようだ」(ばんせい投信投資顧問・商品運用部ファンドマネージャーの山岡浩孝氏)という。

 11月に決算期を迎えるヘッジファンドが多いため、動きはそれほど派手ではないが、資源国だけでなく米国やドイツ、インド、マレーシアなど株価が最高値圏にある市場が続出。弱めの経済状況が続く中での株価上昇に、高値波乱への警戒感も強まっている。

<日本株は世界の景気減速が重し>

 資源価格の下落による日本株市場への影響は、やや複雑だ。建設機械株などにとってはネガティブ材料であり、鉱山機械需要が一部の国で想定を下回って推移しているとして、コマツ<6301.T>は2014年3月期業績予想を下方修正。株価は決算発表後、11%下落した。同日決算発表だった日立建機<6305.T>の決算は悪くなかったが、新興国経済の懸念が波及する形で9%下落している。

 一方、コスト低下という意味では日本株全体にプラスとなる。原発稼働停止でしばらく火力発電などに頼らな??\x91ればならない日本にとって、原油価格の下落は福音だ。ベースメタルなどの価格下落も円安による輸入価格上昇分を抑えてくれる。

 ただ、資源価格の低下がグローバル景気の低迷を反映していることから、積極的な買い材料にはなりにくい。日経平均<.N225>は1万4100円から1万4500円のレンジでこう着。

 過剰流動性が世界の株価を押し上げれば、投資家のリスク許容度が上昇し、日本株にも買いが回ってくることが期待されるが、「世界の景気敏感株としての日本株の特徴が出ており、景気への不安がある中で上値が重い」(大手証券トレーダー)という。

 米株は上昇しているものの、ドル/円も景況感が晴れない中でこう着感が強い。10月米雇用統計の発表や欧州中央銀行(ECB)理事会などの重要イベントを控えていることもあるが、全体的な慎重ムードが強くリスクオンに移れないでいる。

 大和証券・投資戦略部チーフ為替ストラテジストの亀岡裕次氏は「クロス円が相対的に弱い。商品市況やら中国株やら、そういったものが弱いというのは、やはり全般的にまだリスクオフ状態にあるということだ」と指摘する。ただ、そのうえで「他国の経済指標も結局、米国に連動しやすいので、米国さえ悪いものが一巡してしまえば、リスクオンになりやすい」との見方を示している。

(伊賀 大記:編集 田巻 一彦)

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