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3月短観は大企業製造業で横ばい、自動車好調に内需底堅いが企業は全般に慎重【日銀短観】

 日本銀行は4月2日、全国企業短期経済観測調査(短観)の3月調査を発表した。企業の景況感を示す業況判断DIは大企業製造業でマイナス4%ポイントの「悪い」超で前回12月調査と変わらなかった。3カ月後先行きはマイナス3%ポイントで、なお弱い見通し。一方、大企業非製造業ではプラス5%ポイントの「良い」超で、プラス幅は前回12月調査より1ポイント上昇。先行きDIもプラス5%ポイントだった。

 

 大企業製造業の想定為替レートは3月調査では2011年度下期が77.69円、2012年度上期が78.04円となっている。12月調査では2011年度が1ドル=79.02円、下期だけでは77.90円だった。

 「自動車」の景況感が良いが、製造業の為替想定は現況よりも円高を見込み、海外経済のリスクに対する警戒感が強いことが伺われる。非製造業は全般に底堅く、内需型は復興需要も見込まれるが、先行きについては横ばい見通しで、企業は依然として環境を慎重視している。

 短観は、日銀が民間企業を対象に景況感や設備投資動向などを把握するために3カ月に1回実施している。今回の回答期間は2月23日~3月30日で、1万0894社を対象に実施し、回答率は98.6%だった。業況判断指数(DI)は、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いたもの。経営者の足元の景況感を映す指標として重視される。

 大企業製造業の足元のDIについて業種別にみると、景況感が「悪い」と答えた割合が多かったのは、トップが「鉄鋼」と「電気機械」でマイナス17%ポイント。次に、「化学」、「繊維」、「紙パルプ」など。ただ、いずれも、先行きDIについては「悪い」と答えた割合が低下している。前回調査よりも悪化方向で変化幅が大きかったのは、「非鉄金属」で前回調査よりも11ポイント悪化してマイナス11%ポイントに。「繊維」も10ポイント悪化してマイナス13%ポイントとなった。

 一方、「良い」と答えた割合が多かったのは、トップが自動車でプラス28%ポイント。次が「はん用機械」のプラス11%ポイント。改善幅が大きかったのは、「石油・石炭製品」で13ポイント改善しプラスマイナスゼロに。次に「木材・木製品」で9ポイント改善し、5%ポイントとなった。

 先行きDIでは、化学は11ポイント改善、電気機械は10ポイント改善するが、依然として「悪い」超。自動車は17ポイント悪化するが11%ポイントの「良い」超となっている。足元では大企業製造業16業種分類のうち「悪い」超が9業種、先行きは「悪い」超が11業種で、先行きについてなお警戒感が強い??\x82

 大企業非製造業のDIでは、景況感が「良い」と答えた割合が最も大きかったのは通信で52%ポイントの「良い」超。次いで「物品賃貸」と「対事業所サービス」が20%ポイントの「良い」超。「対個人サービス」も13%ポイントの「良い」超、小売も9%ポイントの「良い」超となっている。

 震災で落ち込んでいた「宿泊・飲食サービス」は前回調査まで「悪い」と答えた割合が減ってきていたが、再び6ポイント悪化してマイナス8%ポイントの「悪い」超。前回調査よりも改善したのは「通信」「対事業所サービス」など。

 大企業非製造業の足元DIでは12の業種分類のうち7業種が「良い」超、先行きDIも同様で、内需は比較的底堅い。

 中堅企業のDIについてみると、製造業では前回よりも4ポイント悪化してマイナス7%ポイントの「悪い」超、先行きDIは1ポイント悪化してマイナス8の「悪い」超となっている。非製造業は前回よりも、3ポイント改善してマイナス1%ポイントの「悪い」超、先行きDIはマイナス4ポイント悪化してマイナス5%ポイントの「悪い」超となっている。全産業ベースではマイナス3%ポイントの「悪い」超で前回調査と横ばい、先行きDIはマイナス3ポイント悪化してマイナス6%ポイントの「悪い」超。

 中小企業のDIは非製造業が前回よりも2ポイント悪化してマイナス10%ポイントの「悪い」超、先行きDIは5ポイント悪化してマイナス15%ポイントの「悪い」超となっている。非製造業は前回調査よりも3ポイント改善してマイナス11%ポイントの「悪い」超、先行きDIは5ポイント悪化のマイナス16%ポイントの「悪い」超となっている。中小企業全産業ベースでは足元はマイナス10%ポイントの「悪い」超、先行きは6ポイント悪化してマイナス16%ポイントとなっている。

 生産・営業用設備判断DIは製造業では過剰感が残り続け、「過剰」から「不足」を差し引いた数値は、大企業製造業ではプラス10%ポイントで前回調査のプラス9%ポイントとあまり変わらず。先行きも横ばい。大企業非製造業ではプラスマイナスゼロで先行きはマイナス1%ポイントと過剰感は消えている。

 中小企業製造業では足元がプラス12%ポイントで前回よりも2ポイント上昇したが、先行きDIは2ポイント低下してプラス10%ポイントの「過剰」超。非製造業では足元がプラス1%ポイント、先行きもプラス1%ポイントで過剰感はほぼなくなっている。

 雇用については、「過剰」から「不足」を差し引いた割合が、大企業製造業でプラス8%ポイントと前回調査のプラス6%ポイントからやや過剰感が上昇、3か月後先行きは横ばい。非製造業では足元がマイナス2%ポイント、先行きDIも同様で過剰感はない。

 中小企業では製造業がプラス8%ポイントで前回とほぼ横ばい。先行きもプラス9%ポイントで、ほぼ横ばい。非製造業は足元がマイナス4%ポイント、3カ月後先行きもマイナス4%ポイントで、過剰感のない状態となっている。中堅企業も含めた全産業ベースでも足元はプラス1%ポイント、先行きも横ばいでほぼ過剰感は解消している。

(大崎 明子 =東洋経済オンライン)

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