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値幅調整への警戒解けず、流動性相場の継続には強気

[東京 27日 ロイター] -日本株やドル/円は利益確定売りに押されているものの下げ幅は限定的だ。金融緩和環境が続き、企業業績も改善する中、リスクオンの株高・円安は続くとの強気な見方は多く、押し目買いが入っている。ただ、急ピッチの上昇後だけに、市場心理が少しでも弱気に傾けば、値幅をともなった調整になるとの警戒は解けない。

<買い方のセンチメント転換に警戒>

 相場の調整パターンには「値幅調整」と「日柄調整」の2種類がある。過熱感を下げることで冷やすのが「値幅調整」。日数をかけることで冷ますのが「日柄調整」だ。どんな上昇相場も一本調子で進むことはなく、適度な調整を挟みながら、上値を伸ばしていく。

 日経平均<.N225>のこの2日間の下落幅は169円50銭。11月8日終値から25日終値まで、約2週間で1532円(10.8%)上昇した後の調整にしては小さい。終値と25日移動平均線とのかい離率も過熱のメドとされる5%を超過したままだ。

 必ずしも急ピッチで株価が上昇した後に、大幅な下落を伴うわけではないが、現時点では買い遅れていた国内勢などによる押し目買いが株価を下支えており、「日柄調整」の展開になっている。

 ただ、「値幅調整」に入る可能性が消えたわけではなく、市場には警戒も残る。「急ピッチで株価が上昇するときは、売り方が少なくなり、買い方ばかりになる。買い方のセンチメントが反転すれば、株価の下落幅は大きくなる」と証券ジャパン・調査情報部長の大谷正之氏は指摘する。

 日本株とドル/円を押し上げたのは、ヘッジファンドなど海外勢だ。海外投資家は前々週に、先物と現物を合わせ過去最大の日本株買い越しをみせ、IMM通貨先物の取組では「アベノミクス相場」で最大の円ショートポジションを積み上げている。動きの速い彼らだけに「反転」には警戒が強い。

<弱い景気ゆえの株高>

 実際、世界的にも株高が進んでいるにもかかわらず、グローバルの景気が良くなっているわけではない。株価上昇による資産効果で景気が改善することへの期待もあるが、まだその効果は一部にとどまっている。「綱渡りの株高」(外資系証券)であることは確かだ。

 経済協力開発機構(OECD)は、世界的な株高が続いていた今月19日、世界経済成長率見通しについて、2013年は3.1%から2.7%、2014年は4.0%から3.6%に引き下げた。新興国市場の景気減速が世界的な景気回復の足かせとなっているほか、先進諸国についても長年の債務危機後、回復に苦しんでいるとの見方を示した。

 シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏は世界景気について「新興国の成長率低下に加え、米国のテーパリング(緩和縮小)がいずれ開始されれば、景気下押し要因になりかねない」と慎重だ。

 ただ、村嶋氏は、景気が弱いからこそ、金融緩和環境の長期化観測が強まり、株価を押し上げていると??\x82指摘する。

 景気が弱いといってもリセッションには程遠く、緩やかながらも成長を続けている。金融危機も各中央銀行の「安全網」設定で一応後退している。やや弱い景気と、強い金融緩和は、流動性相場を形成するのにこの上ない環境だ。

<株高は円安を誘発>

 さらに日本には円安も加わる。「日米欧の金融緩和は『がっぷりよつ』で通貨ペアである為替相場は、金利や金融政策スタンスでは動きにくくなっているが、株高と円安は連動しやすいため、株高の分だけ円安が進んでいる」(野村信託銀行・資金為替部次長の網蔵秀樹氏)という。

 ドル/円は日本株の上値が重くなっていることで、上昇一服だが、ユーロ/円は4年1カ月ぶりとなる138円台を突破した。一方、ユーロ/ドルも下値を切り上げているが、依然レンジ内の動きだ。

 円安が進めば、日本企業の業績改善期待も高まりやすい。「日経平均の1500円上昇を分解すれば、1000円が業績改善で、500円が日銀緩和期待などだ。期待のはく落で500円程度は調整する可能性があるが、円安が大きく崩れなければ、業績改善期待が下値を支えるだろう」との見方をニッセイ基礎研究所・金融研究部主任研究員の井出真吾氏は示している。

(伊賀大記 編集:宮崎大)

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