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焦点:米企業決算に注目集まる、業績下方修正を懸念する声も

[ニューヨーク 17日 ロイター] - 米財政協議が決着したことで、米株式市場の関心は再び企業決算に向かうとみられるが、IBMやゴールドマン・サックスなど、一部の大手企業が予想を下回る決算を発表している。

 17日の株式市場は総じて財政協議の決着を好感する展開となったが、IBM、ゴールドマン、ユナイテッドヘルス・グループは決算内容が嫌気され、株価が下落した。

 好決算を発表したアメリカン・エクスプレス、ベライゾン、コカコーラは値上がりしたが、これまでのところ米企業の決算は強弱まちまちとなっている。

 ハイテク企業の決算でも、16日発表のイーベイは予想を下回り、17日発表のグーグルは、売上高・利益とも予想を上回った。

<収益力低下の傾向>

 市場では、財政協議の混乱を受けて、量的緩和の縮小が来年以降に先送りになるとの観測が浮上しているが、株価の上昇を維持するには、業績期待に比べて足元の株価はまだまだ割安との見方が浸透する必要がある。

 S&P総合500種指数採用銘柄の株価予想収益率(予想PER)は約14.5倍で、4年ぶりの高水準。長期平均の14.85倍をやや下回っているが、予想PERは、業績が伸び悩むなか年初から一貫して上昇しており、業績改善が伴わなければ、今後、株価に割高感が出始める可能性がある。

 IBMの決算は、ハードウエア部門の利益水準が年初から10億ドル減少。売上高も市場予想を約10億ドル下回った。

 1─9月の利益率(金利・税金の影響を除く)は17.8%と、前年同期の19.2%を下回っている。

 ゴールドマン・サックスによると、S&P総合500種指数採用企業(金融を除く)の支払利息・税金控除前利益(EBIT)は、今年第2・四半期まで7四半期連続で減少。ハイテク企業の利益率は3年ぶりの低水準という。

 EBITは企業の収益力を示す重要な指標。IBMの決算は、企業業績のトレンドを示す典型的な例といえる。

 ジョーンズトレーディングのチーフマーケットストラテジスト、マイケル・オローク氏は「問題は、業績の伸びを維持する手段が企業にどれだけ残されているかだ」と指摘した。

<過大な予想>

 今年の米株式市場は、連邦準備理事会(FRB)の量的緩和政策に加え、下半期の企業業績が拡大するとの期待を追い風に、値上がりしてきた。

 クレディ・スイスの7月のリポートによると、ラッセル2000指数では、10業種中6業種の増益率が通常の水準を上回ると予想されていた。ハイテク企業の下半期の業績は、前年同期比で55%の増益が予想されていたという。

 オローク氏は「今年の業績予想は、年後半に多額の利益を計上することを前提としている。第3・四半期の業績が予想を下回れば、第4・四半期の予想も引き下げられるはずだ」とし、「市場もこの点を経済指標、??\x81業業績、実体経済との関連で意識し始めている」と述べた。

 第3・四半期の米企業決算の予想は、現時点で1.9%の増益。7月初め時点では8.5%の増益が予想されていた。

 ただ、第4・四半期の業績予想はここまで下方修正されておらず、2014年の業績予想も11%台の増益でここ数カ月安定している。

 シティグループ・グローバル・マーケッツの米国株担当チーフストラテジスト、トビアス・レヴコビッチ氏は、今後2カ月程度でこうした過大な予想が下方修正されるだろうと予想。「リスクオンで株式を買うのには問題がある」と述べた。

 同氏によると、特に一般消費財セクター、工業セクターなどの景気敏感株は、業績拡大をすでに織り込んでいる。トムソン・ロイターのデータよると、2014年の業績予想は、一般消費財セクターが18.9%の増益、素材セクターが17.4%の増益だ。

 第4・四半期は、出だしから政局混迷という悪材料に見舞われた。政府機関閉鎖と米国債のデフォルト懸念は、米国内総生産(GDP)を0.6%ポイント前後押し下げるとみられており、企業業績を圧迫する要因となりかねない。

これまでは、財政協議や量的緩和政策に気を取られ、企業業績にはあまり目が向かなか ったが、オローク氏は「一部の決算が予想を下回っている。第4・四半期の業績予想の下方修正が、いずれ株価の重しになるだろう」との見方を示している。

(Rodrigo Campos記者、Julia Edwards記者;翻訳 深滝壱哉;編集 宮崎亜巳)

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