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焦点:長期金利0.6%割れ、都銀が円債買いにスタンス一変

[東京 24日 ロイター] - 10年長期金利は24日、約5カ月ぶりに節目の0.6%を割り込んだ。大きな力を発揮したのは上期の売り姿勢を一変した都銀の買いだ。

 日銀の国債大量購入による好需給環境が続くなか、米債金利の低下などを背景に長期ゾーン中心に円債を積み上げている。2年で2%という日銀の物価目標の達成が遠のいているとの見方が広がっていることも緩和継続期待を高め、買い安心感をもたらしているという。

<米金利低下と株安/円高、「売る材料ない」>

 10年最長期国債利回り(長期金利)の0.6%割れは5月9日以来。下期に入り、都銀を中心とする銀行勢の期初の積み上げ需要が勢いを増し、金利低下の原動力となっている。

 市場関係者からは「都銀が9月に中期債を売り越したものの、足元ではポジションを復元しているもようだ。9月のデュレーションの長期化とともに中期債を含め、幅広い年限を買っている可能性が高い」(外資系証券)との声が出ている。

 足元で都銀勢の円債買いが一段と勢いづいた直接の要因は、米国債利回りの低下だ。9月米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回り、米連邦準備理事会(FRB)が年内に債券買い入れの縮小に踏み切るとの観測が大幅に後退。米国の10年利付国債回りが節目の2.5%を割り込んだ。

 米国債利回りの低下は、日米金利差縮小を意識させ、ドル安/円高に振れていることも相場をサポートしている。株安も進み、「円債を売る材料が見当たらない状況」(外資系金融機関)との声も出始めた。

<10月以降、都銀は買い越しの公算>

 ある都銀関係者は「長期金利の低下は、いったん先送りされた米緩和縮小議論が再び始まるまで続くのではないか」と指摘する。ただ、行き場のない資金が国債市場に流れるといったデフレ時の金利低下局面と異なり、企業の設備投資の増加基調など経済活動の前向きな循環が出ており、相場の過熱感を和らげていると分析する。

 大手銀行は上期、国債保有残高を圧縮。残高は3月末の119兆円から、8月末は96兆円まで減少させている。公社債投資家別売買高でも都銀は9月まで6カ月連続で売り越しだ。ただ、9月の売り越し額5506億円は6カ月間で最少。下期入りした10月以降は買いに転じているとみられている。

<消費増税後の景気悪化、織り込み始めたとの声>

 需給面では依然として、日銀の大量国債買い入れがタイト化を促している。ただ、ここにきて円債市場の厳しい景況感や物価見通しが、金利を低位に押し下げているとの声が多くなっている。

 ある国内証券の関係者は「日銀は来年4月の消費増税による景気悪化の影響が一過性と見ているようだ。だが、市場では徐々に日銀の想定を上回る悪化を織り込み始めている。物価上昇率も2年で2%の達成は厳しいと見ており、金利の大幅な上昇は考えにくいとの判断に市場は傾きつつある」と話す。

 当面の10年最長期国債利回りは「まず、5月7日に付けた0.570%がターゲットになりそうだ」(SMBC日興証券・シニアクオンツアナリストの山田聡氏)との見方が出ている。

(伊藤 武文 編集;伊賀 大記)

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