高値づかみするのは誰? 「急騰相場」で損する人の特徴

過熱感を見極めよう

清水 洋介
2016年12月19日

 「トランプラリー」と言われ上昇した株式相場もそろそろ上値が重くなってきた。「目先的な過熱感」が理由とされているが、どこまで過熱感があるのかは終わってみなければわからない。株式投資で利益を出すことは、あとからチャートを見ると簡単なように思えるが、実際にその場にいるとわからないことが多い。

 今回の上昇相場でも「もういいところだろう」と思う局面が何度もあったが、上昇が続いた。そして、上昇が止まったと思っても、下落することなく買い直されることが繰り返されてきた。ただ、いつまでも上がる相場はなく、いつかは上昇が止まり調整となる。調整のタイミングをしっかりと予想することが重要だ。

 「騰落レシオが120%を超えて過熱感がある」というように、すぐにでも下がるのではないかといった声も聞かれる。しかし、こうした指標は本当の見方を知っていないと、まだ上昇が続いている中で売ってしまうということになりかねない。

 「トランプラリー」は、「トランプ大統領になると大変なことになる」との事前報道から、信用取引の売りが増えていたことが株価上昇の要因となった面もある。「騰落レシオ」についても同様で、過熱感があるということで売りが積み上がった反動で、ここまで急騰しているのだろう。

 騰落レシオは120%を超えたら割高水準と言われており、あたかも「売りシグナル」のように勘違いされている。しかし、本当のところは120%を超えたところが売り場ということではなく、「高値」となったところを見ると「120%を超えていることが多い」といっているだけにすぎない。「○○だから売らなければならない」というような報道に惑わされないようにするといい。

「押し目待ちに押し目なし」

 同様に「押し目待ちに押し目なし」という相場格言も、勘違いして使われているのではないか。今回の上昇相場のような急騰となると、「押し目」など作らずに一気に上昇してしまう。そのため、とりあえず買えるものを買っておこうという雰囲気になる。しかし、こうした急騰相場の時ほど往々にして最後に高値づかみをしてしまい、塩漬け株を作ってしまうケースが多い。

 急騰相場において、株式投資で失敗するケースは大きく二通りに分かれる。一つは先に述べたように、上昇しているところでも構わず高値で買ってしまうケース。そして、もう一つは「押し目だろう」と考えて、高値から少し下がったところで買ってしまい、その後急落するケースである。どちらの場合も急騰後の下落だけに、大きな損失となってしまう可能性が高い。

 現状のように目先的な過熱感が出ているところでは、過熱感がきちんと冷めてから買っても遅くはない。ちょっと下がったところで「安く買える」と意気込んで買いに行ってはいけない。

 もちろん、利益確定売りをこなして次の相場に向かうところであれば、目先的な高値を買っても上昇が続くのだろう。しかし、先に述べたように、高値や押し目というものは終わってみなければわからないのだから、慎重を期すほうがいいだろう。

 また、今の相場が「何を根拠に買われている相場なのか?」という点もしっかり見極めるということも必要だ。そうすれば高値で買ってもよいのか、少し下がっただけで買っても大丈夫なのかが判断できる。

 買いそびれても儲け損なうだけで、実際におカネが減るわけではない。しかし、無理をして買うと株価が下落して損失となるか、あるいは資金が固定されてしまって次の銘柄が買えなくなってしまう。

「休むも相場」を肝に銘じよう

 本来は余裕資金で投資するもの。無理をして毎日株を買う必要などないし、必ず株を保有していなければならないということもない。「休むも相場」とはよくいったもので、現状のような急騰相場が煮詰まってきたところでは、無理に買える株を探す必要などないと思う。

 年末に向けて、機関投資家や海外投資家の手仕舞い売りが出てくるかもしれず、「押し目」と思っても押し目とならないケースも多くなってくると思う。

 逆に買い戻しが入って株価を押し上げているに過ぎないものを「まだまだ上がる」と勘違いしてしまうこともあるかもしれない。難しい局面ではあえて目先の値動きを追う必要はなく、じっくりと買い場を探すのがよいだろう。

 来年の企業業績が回復しそうな気配がするというのであれば、大きく回復が見込まれるような銘柄の買い場を探せばいい。割高感が出ている銘柄をあえて買う必要などない。割高感のある銘柄は、ちょっとしたニュースが出たり、相場全体が調整するところでは大きく売られる可能性がある。底値を確認してから買い直せばいい。

 日経平均は年内に2万円を付けるという声もあるが、筆者は当面の高値を付けた可能性があると考えている。もちろん、20日の日銀の金融政策発表で追加緩和などがあれば買い直されるだろう。しかし、週末に3連休を控えていることや、海外でクリスマス休暇となることなどを考えると、参加者が減る可能性も高い。

 米国でも日本でも金融政策がここからすぐに大きく変わるはずもなく、材料出尽くし感が強い。したがって、日銀のETF(上場投資信託)買い期待はあるが、手仕舞い売りもかさんできそうである。当面は1万8500~1万8600円水準を下値に1万9000円台前半が上値となるのではないか。

 12月決算銘柄や食品株など出遅れ感が出ていた銘柄もだいぶ買い直されてしまい、買える銘柄が少なくなってきた。アサヒグループHLD(2502)などのように12月決算銘柄などでまだ出遅れ感がある銘柄に注目しておき、さらに来年をにらんで、みずほフィナンシャルグループ(8411)三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)三井住友フィナンシャルグループ(8316)など金融株や、三菱商事(8058)伊藤忠商事(8001)三井物産(8031)といった大手商社など、資源株の買い場をしっかりと見極めておくというのでよいのではないだろうか。

清水洋介/大和証券、マネックス証券、リテラ・クレア証券など経て、現在アルゴナビスでフィナンシャルコンシェルジュ
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