コレが「節税売りの多く出そうな銘柄」一覧だ!?

27日までに塩漬け株処分

岡村 友哉
2016年12月20日
個人投資家からの節税対策売りがかさんでいる(撮影:梅谷秀司、写真はイメージ)

 2016年も残すところ8営業日だ(20日時点)。週初の19日こそ、日経平均株価がわずかながら下落。先週末まで続いた連騰は惜しくも9でストップしたが、それでもこの水準なら御の字だろう。16年の年初来安値がいくらかといえば、6月24日の1万4952円である。年央にそんな値段を付けていた日経平均が、後半鬼の巻き返しで年間パフォーマンスをプラスにしようとは……。

 今年リーグ優勝した広島カープのビールかけは「まさかじゃない!」という掛け声で始まった。同じく神っていた日経平均(年間ではたいして上げてないのだが)だけに、年末2万円乗せでゴール!も「まさかじゃない!」かもしれない。

 と、適当なことから書き始めたが、年内の残り日数も少なくなっており、この時期の注意点を挙げたい。毎年のことではあるが、この時期は「節税売り」が年内で最も出やすいタイミングといえる。個人投資家にかぎった話になるが、個人の決算期末は12月末である。人それぞれ、何を購入していたか、いつ購入していたかが異なるため一概には言えない。

 ただ、特定口座を使っていて、この1年のパフォーマンスがプラスという投資家であれば、手元に残している塩漬け株(評価損の株)を売ってしまう動機が生まれるのがこの時期だ。年内の実現益と相殺できるため、「節税売り」と呼ばれる。

 「残すところ8営業日」というのは大納会30日までの日数。税制上の年内は「受渡日」ベースになるため、節税売りを行う期限はもう少し前。年内受け渡しでの最終約定日は27日になる。同日までに塩漬け株を売っておこうと動くのは、ふだん活発に売買を繰り返しているデイトレーダータイプの投資家ではないだろう。

「赤信号」点滅は4銘柄

 どちらかといえば、あまり動かない個人投資家だ。損切りを素早くすることができないまま、値段が戻るのを期待して塩漬け株を抱えている投資家に多いとみられる。今回は、現時点でどういう銘柄の塩漬け株が多いのかをスクリーニングで抽出したいと思う。

 直近で年初来高値を更新した個別株を買い持ち分は含み益なので対象外といえる。塩漬け株は、現在値が年初来高値を大きく下回る銘柄だ。とりわけ、高値を付ける過程で人気化した(出来高が急増した)銘柄の節税売りが多いと予想できる。

 上表は全市場の全銘柄を対象に金額ベースの信用買い残(=信用買い残の株数×現値)トップ20銘柄を列挙したものだ。個人の節税売りと密接に関係してくる銘柄である。同表で挙げた銘柄のうち、節税売り対象となる可能性が高いのは赤色と黄色の網掛けをかけたような銘柄だろう。年初来高値を4割強下回る赤信号銘柄が東証1部の小野薬品工業 (4528)、東証マザーズのそーせいグループ (4565)CYBERDYNE (7779)。ETFではNEXT FUNDS日経平均ダブルインバースインデックス連合型上場投信 (1357)だ。黄色信号は、年初来高値を15%以上下回る任天堂 (7974)など5銘柄である。

 週明け19日もそーせいとCYBERDYNEは値下がり。4営業日続落となった。節税売りの影響や、節税売りに伴う軟化を想定した短期筋の売りで弱かったのではないかと想像される。一方、直近IPO株の一角から急騰銘柄が出た。これは、節税売りとはまったく無縁だからだろう(笑)。

株価への影響が大きい銘柄は?

 同じく上場全銘柄を対象に、節税売りがマイナスインパクトとして株価に影響を及ぼすおそれがある銘柄を20銘柄ピックアップした。時価総額に対する信用買い残比率が10%を超えている銘柄ばかりだ。「主な売買参加者が個人投資家」と断定してもいい銘柄といえる。

 この時期特有の個人の売りは、目的が節税である分については27日で完全に打ち止めとなる。本気でその株の成長性や株価上昇に賭けている長期スパンの投資家は、目的遂行で売った分を買い直すことになるだろう。どの程度買い直す意気込みの投資家がいるかは不明だがその場合、28日以降の約定分から17年受け渡しとなる。

 改めてスクリーニング結果をながめてみると、今年もいろいろあったなとしみじみ思う。「神の手」、盛り上がりましたね。

(おしまい)

※株式コメンテーター・岡村友哉
株式市場の日々の動向を経済番組で解説。大手証券会社を経て、投資情報会社フィスコへ。その後独立し、現在に至る。フィスコではIPO・新興株市場担当として、IPO企業約400社のレポートを作成し、「初値予想」を投資家向けに提供していた。
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