年初の急落相場は繰り返されるのか?

「掉尾の一振」にも注目

清水 洋介
2016年12月26日

 毎年この時期になると「掉尾(ちょうび)の一振はあるか?」ということが言われる。しかし、今年はここまでが堅調な相場であることから、あえて「掉尾の一振」というよりは、一昨年のように最後は手仕舞い売りに押されるのではないかと思う。そして、年初は手仕舞い売りが優勢となって冴えない始まりとなるのではないだろうか?

 今年1年を振り返ってみても、年初から期待外れとなることが多く、いかに相場の予想をすることが無駄かということを思い知らされた。また、株式相場が誰もが知っている材料だけではなく、雰囲気や目先の需給で動かされることが多いかがわかった年だったと思う。

 昨年あたりから変化が大きくなっているということなのだろう。16年は年初から急落し、追加緩和=マイナス金利を導入しても下げ止まらなかった。春先からは大きな保ち合い相場となり、相場全体は盛り上がらず、日銀の動向や海外の動向に一喜一憂するという感じだった。

 日銀の追加緩和があるのではないかと言って買われ、なかったといって売られた。特に何が決まったわけでもないのに右往左往することが多く、英国のEU離脱も、米国の大統領選挙も、大きな波乱となった。

 しかし、結果論から言えば、今年はなんだかんだと言っても堅調な年であり、しっかりと安いところで買ってさえいれば、今頃のんびりと利益を確保していればよかったということになる。

大きな流れを把握することが大切

 今年の大きな流れは、「米国での利上げ」と「日本での追加緩和」、そして「欧州の混乱があるかどうか」、「新興国の景気は悪化するか」ということにつきる。

 つまり米国は今後も利上げのペースをはかる方向にある。日本では物価次第では追加緩和もあるかもしれないという状況で、欧州では金融不安は一段落となった。しかし、テロの問題などからナショナリズムが強まるとフランスの大統領選挙などに影響が出て、経済的、政治的な混乱があるかもしれない。中国など新興国では紛争などのリスクを含んではいるものの、米国などがけん引する形での資源高など景気拡大要因も含んでいる。

 特に新興国は今回の米国の利上げで自国通貨安となった国が多かったが、従来とは違い輸出が伸びているような新興国にとって自国通貨安はマイナス要因ではなくなっており、景気の落ち込み懸念も薄れている。新興国の経済が安定してくれば、人口増加、特に「中間層」の増加は世界的に見て経済の拡大をもたらす。それによって新興国も恩恵を受けるということになるだろう。

 そういった意味で言えば、大きな流れとしては来年も今年と変わることがなく、今年のように欧州での混乱が一過性のものであれば、好調な株式相場も期待されるのではないか。

懸念材料はないか?

 それでは当面の相場も含めて2017年の相場にはまったく心配がないのか? 欧州での政治的な混乱は懸念材料だが、英国がEU離脱を決めたことが失敗だったという認識になれば、EU(欧州連合)自体は落ち着いて、懸念材料とはならないだろう。

 ただ、折に触れ英国の離脱が問題視され、欧米株式市場の上値を押さえる要因となりそうだ。

 また、一番の懸念材料は、米国のトランプ大統領が就任後、これまで選挙の時に述べてきたような保護主義政策をとるかどうかということである。もちろん、これまでの言動とは違って現実的なものになるのだろうが、ドル高政策や保護主義政策が行き過ぎると世界的な景気鈍化につながるということもありそうだ。

 それを考えると、今年からの流れの変化が年初から懸念される可能性もある。今年や昨年のように年初から手仕舞い売りに押されるということもあるのではないか。

 実際には日銀のETF(上場投資信託)買いが期待され、すぐにトランプ次期大統領の政策が悲観的なものとなるということでもないだろうが、上がる時も下がる時も、想定以上の値幅となることが多い。そのため、大きな流れが変わらないときには逆張りで臨み、大きな流れが変わる時には変わった方向に進むということを考えておけばいいだろう。

 今回の米国の利上げによって大きく流れが変わったと考えられ、この流れを変えるような出来事や政策、そして不安などをしっかりと把握して行動すればいい。

 日経平均の予想もたくさん出てきているが、日経平均がいくらになるかということを予想することに時間を費やすよりは、現状の日経平均が高値を試すような動きは何がどうなったら変わるのかを見極めていった方がいい。

 ただ、「押し目」を買うにしても、しっかりと「押し目」を確認することが必要であり、決して「下落の始まり」で買いつくことがないようにしておくことが肝要である。

 目先的には値幅か日柄の調整があると思われ、掉尾の一振はあったとしてもいったん下押してからだろう。もしこのまま上昇して最後まで高くなるようであれば、年初から日柄か値幅の調整となると思う。したがって、年内に2万円まで上昇となることはなく、年内は1万9500~1万9600円水準で上値を押さえられ、下値は1万8500~1万8600円水準があってもおかしくはない。

 ここから買える銘柄群としては住友金属鉱山(5713)などの非鉄株、三井物産(8031)などの商社株、そしてクリスマス商戦期待での三越伊勢丹(3099)などの百貨店株の底堅さが確認されたところから手掛けて行くということになるだろう。

清水洋介/大和証券、マネックス証券、リテラ・クレア証券など経て、現在アルゴナビスでフィナンシャルコンシェルジュ
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