17年大発会の大商いは相場の潮目のシグナル?

「始めよければ…」との判断は早計

岡村 友哉
2017年01月11日
ロケットスタートとなった2017年相場だが…(撮影:尾形文繁)

 「トランプラリー」と称される大相場(短期間だが……)を経て、2016年が閉幕。終わりよければすべてよし的な1年だった。そして、始まった17年。1月4日の大発会は記録ずくめのブル相場に。「始めよければ終わりよし」。そんなポジティブシンキングを膨らませるには十分な出足になった。

 今年の大発会の日経平均株価は前年末比479円高だった。この上げ幅は、大発会としては1996年(749円高)以来、21年ぶりの大きさだったそうだ。日経平均は同184円高で寄り付き、東京時間にグイグイと上げ幅を広げた。東京時間の上昇分は295円に達した。

 東京時間の上昇は、多くの市場参加者の心配が杞憂に終わったことが大きいといえる。昨年の大発会の急落(そのまま、大発会からの連敗では過去最長の6連敗)が記憶に新しく、そのトラウマから、下げに備えてポジションを作っていた投資家が相当多かったようだ。

 これは、東証1部のカラ売り比率にも表れている。同比率は昨年12月29日、トランプラリー以降で最大の41.07%まで急上昇していた。だが、大発会では36.51%まで低下しており、現物株サイドでも相当な買い戻しが入っていたことが想像できる。

 大発会の値上がり自体、13年以来4年ぶりのこと。先制攻撃に成功したこともあり、「さあ行くぞ!」の機運は高まった感じもある。ただ、大発会が下落していた直近の3年は、年間で見るといずれも日経平均が上昇して終わった。大発会の値上がりだけを理由に「始めよければ終わりよし!」とまでは言い切れないようだ。

 21年ぶりの上昇幅という記録についても、「なんだかスゴい」感を演出し過ぎないほうがいいだろう。なぜなら、その過去最強の大発会だった1996年にしても、年間では日経平均は506円値上がりしたからだ。これが伏線になったのか、その翌年の97年は年間で4102円安の大暴落に見舞われた。

 日経平均の最高値は89年大納会の3万8915円。その後の戻り高値2万2750円を記録したのは、過去最強の大発会となった96年だった。これをネットでよく使われる言葉で表現するなら、“フラグが立った”というやつに見えなくもない。

14年の年間出来高は激減

 17年の大発会は上げ幅もスゴかったが、売買代金もかなりスゴかった。東証1部全体の売買代金は2兆6851億円と大発会の割にかなり膨らんだ。これもさかのぼると、大発会が終日立ち会いになった10年以降の8年間では最大だった。

 これも、ポジティブシンキングするなら、「株式市場に活気がある」。しかし、大発会から買いたい人が多かったともいえる一方、同じだけ日本株を処分した人も多かったわけで表裏は常に一体。前出の通り、買いたい人の中には泣く泣く買い戻した人も多かったと見られるわけで……。

 売買代金からは、こんな見方もできる。今年の大発会は14年以来の2.6兆円規模の水準に達した。その14年といえば、前年の13年はアベノミクス相場全盛期。年間の上昇幅が5896円に達した。14年の大発会はアベノミクスラリーの余韻たっぷりで大商いになったが14年以降、東証1部の売買代金は激減した。14年の年間出来高は前年比で29%も落ち込んだ。

 大発会の商い急増は、前年の余韻もありそう。トランプラリーの余韻で大発会こそ記録的商いになった17年だが、これも今後売買がさらに減る“フラグが立った”とも言えなくはない。

 浮き足立ちがちな新年だが、株高の雰囲気が盛り上がれば盛り上がるほど、冷めてしまう投資家も多いのではないか。そういえば、新年早々、某週刊誌には「株価4万円へ!」なる大きな見出しが踊っていた。しかも、将来ではなく「今年中に」、である。

 マグロの初セリが4年ぶり高値(1匹7420万円)で落札されるという何か意味を持ちそうな話題もあった。何かのフラグが立っているのでは?と考えさせられなくはないが、気のせいだろうか……。

 心配症の性分を炸裂させた内容になってしまったが、今年のマーケットもさっぱり読めないことを伝えたかっただけである。だとすれば、こんな話になっていく可能性だってある。16年の米国大統領選挙の前、つまり「トランプラリー」が始まる前、多くの人は「トランプ大統領なんて悪夢だ」「トランプショックだ」「トランプはリスク」などと言っていた。

 これが今年を振り返る段階になったとき……「あの当時、みんなが言っていたトランプリスクの話って大正解だったね」。

(おしまい)

※株式コメンテーター・岡村友哉
株式市場の日々の動向を経済番組で解説。大手証券会社を経て、投資情報会社フィスコへ。その後独立し、現在に至る。フィスコではIPO・新興株市場担当として、IPO企業約400社のレポートを作成し、「初値予想」を投資家向けに提供していた。
Copyright Toyo Keizai, Inc., all rights reserved.
Copyright Quants Research, Inc., all rights reserved.
東洋経済新報社 クォンツ・リサーチ