日銀が下支えする日経平均、妥当な水準とは?

同じ1ドル108円だった昨年11月と比較すると

岡村 友哉
2017年04月18日
日経平均は日銀のETF買いで下支えされている(写真:Kou/PIXTA)

 日本株は「リスクオフ」要因が積み重なった"ミルフィーユ状態"になっている。ざっと列挙するだけでもトランプラリーのアンワインド(巻き戻し)、森友学園問題による政治不信、フランス大統領選挙の接近、米国のシリア攻撃、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮など「リスクオフ」要因だらけだ。

 日経平均株価の週足は先週まで5週連続の「陰線」となり、これはアベノミクス相場以降で最長だそうだ。それでも意外に高値を保っていると感じるのは気のせいだろうか。

 4月17日にはドル/円は108円台前半までドル安円高が進んだ。これは、昨年11月15日以来の円高水準である。ちなみに、昨年11月15日の日経平均の終値は1万7668円。そして今年4月17日の日経平均の終値は1万8355円。同じ為替水準にもかかわらず日経平均は当時より約700円高い(3月の配当落ち分が131円あったが)。

 その理由は、「日銀のETF買い」にある。先週の11~14日にかけて、日銀は4日続けて1回当たり725億円のETF買いを敢行、「まともに買っているのは日銀だけ」と揶揄された。それでも日経平均が先週329円、率にして1.76%下げたということは、その他の投資家(おそらく外国人)が日銀の買いを凌駕する売り越しだったことも容易に想像できる(東証による公表は20日)。

 外国人投資家は先週5000億円以上売り越した可能性があり、通常そのレベルの売り越しがあれば日経平均は値崩れしてきた。直近10年で、外国人が5000億円以上売り越した週(メジャーSQ週を除く)は31回あった。その31回のうち、日経平均が上昇したのは僅か3回、下落したのが28回。この31週の週間騰落率を平均すると「マイナス3.29%」だった。外国人が5000億円以上売り越すと、このくらいの下落率になるものとイメージを掴んでいただきたい。

 しかし、日経平均を無理やり下支えする「日銀のETF買い」が膨らんでくると話はまた変わってくる。黒田東彦日銀総裁が就任し、ETF買いの年間枠を1兆円としたのは2013年4月のことだ。それ以前に外国人が5000億円以上売り越した週における日経平均の騰落率平均は「マイナス3.81%」だった。それが年間枠が1兆円になると「マイナス4.32%」になった。

 ここまでは明確な差はなかったが、14年10月に枠が3兆円になると「マイナス2.62%」になり、16年7月に枠が6兆円に拡大して以降は「マイナス1.47%」になった。日銀ETF買いの規模がエスカレートしていくにつれ、明確に日経平均は下げにくくなったことがわかる。

 「何だか薄ら高い気がする日経平均」という感覚には根拠があり、市場参加者に周知のものとなっている。「本来下げるべき水準まで下げていないのではないか?」と投資家に思われてしまっているわけだ。だからこそ、逆張り投資家の腰は重く、少々反発しても買いは長続きしなくなった。

 12日に日銀が公表した毎旬営業報告(4月10日時点)によれば、日銀のバランスシートにおけるETFの保有額は13兆1519億円だそうだ。巨額の買い支えがマーケットの需給を歪ませ、本来は安く日本株を買える逆張り機会を個人投資家から奪っている。日本の賢明な投資家は、飾らない日経平均の"スッピン"を見たいと思っているのではないだろうか。

※株式コメンテーター・岡村友哉
株式市場の日々の動向を経済番組で解説。大手証券会社を経て、投資情報会社フィスコへ。その後独立し、現在に至る。フィスコではIPO・新興株市場担当として、IPO企業約400社のレポートを作成し、「初値予想」を投資家向けに提供していた。
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